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ブライダルMCの 散歩de寄り道【許し】

        


今年ももうすぐ暮れていきますね。

年末、担当披露宴が無くなってホッとしたのか、珍しく熱を出しました。このご時世、コロナでなかったことがせめてもの救いですが、しっかりと数日間寝込みました。

もしこんな状態で司会台に立たなければならなかったら…と思うと恐怖です。

偶然なのか見えざる気合いなのかはわかりませんが、宴席の無い年末まで持ちこたえてくれた身体に感謝し、偉かったぞ~と褒めている間に大晦日になってしまいました。お正月の準備はこれからです。

私は仕事柄、年中体調を崩さないかドキドキしています。おそらく会社員時代には感じなかった緊張が1年中続いています。マスクに関しては、喉を痛めないようにと、昔から夏でも着用しています。コロナ社会になって皆さんもマスクをするようになったので「怪しい人」という視線を感じなくなりましたが、昔は少し浮いていたことでしょう。それでも、体調維持のためには汗をかきながらマスクを付けていました。

 

昨今、どんなに体調管理をしていても、突然やってくるのがコロナ感染ですね。振り返れば今年も、少なくないゲストのドタキャンがありました。

中でも一番やりきれなかったのは、新婦のお父様が2日前にコロナに罹り、同居しているお母様は濃厚接触者扱い…新婦側のご両親不在で行われたお式でした。結婚して家を離れていたお姉様が、1歳に満たない赤ちゃんを連れて、母親の代わりにベールダウンをし、父親の代わりにバージンロードを歩きました。新婦が残念だったのはもちろん、親御様の気持ちを思うと言葉もありません。そしてお姉様は殆どお料理に手を付ける時間がありませんでした。

こんな時、せめて何かできないか…と司会者は考えます。打ち合わせ時に生い立ちを聞き、家族旅行の話を聞き、もう私は10年来の友人のようなつもりで新婦に寄り添っています。お式2日前にできることは限られますが、それでも親御様に参加している気分を少しでも感じて頂きたく、古き良き「電話」なども使いながら、自宅と会場を繋ぎました。

司会者よりも深く残念がっているのはプランナーさんです。お二人が式場下見に足を運んだその日から、一番に彼らに寄り添っているのは式場の担当者です。私たちは一緒にお二人の笑顔と成功のために動いていますので、直前でも善後策を考えます。

 

しかし、そんな私たち、プランナーも司会者も、時に病に倒れる人間です。代わりの利かない一期一会の仕事であると肝に銘じてはいますが、それでもどうしても…という日はやってくるのかもしれません。自分たちも含めて、何事も無く…「無事」という言葉の重みを感じる今日この頃です。

 

一方で、「無事」が当たり前ではなくなったからこそ、ある素晴らしい変化が生まれているとも感じます。

コロナも3年目になり、全員が元気に予定通りの場所に集まれるということが、どれほど尊いことなのか、より一層身に染みる時代になりました。そして私たちは、突発的なドタキャンを受け入れられる人間に成長しているような気がします。そういうリスクのある中で、許し許され、今出来る最高のパフォーマンスを求めて動くことを覚えたように思います。それは結婚披露宴に限ったことではなく、会社でも、旅行でも、会食でも。

 

私は、今年担当した全ての新郎新婦に、その寛容さを見出せたことに感動しています。

飛沫の飛ぶ余興を諦め、アクリル板で囲われたウェディングケーキに入刀し、時に大事な親友が欠席となりました。けれど、今年ご結婚されたお二人は、それらを自分たちの大事な経験と許し抱いて、その中で実現できる幸せを探し、見事掴んだツワモノたちです。

一生に一度の大イベントの中でも、相手を慮るということをやってのけた新郎新婦たち。

彼らが、温かな部屋で笑顔で年越しをしていることを願っています。

皆様も良いお年をお迎えください。