bridalmemory~私たちの物語

ブライダルMCが作る物語風プロフィール紹介

ブライダルMCの 散歩de寄り道【ゲストのアドリブ】

        


ブライダルMCの 林圭子です。

結婚披露宴の司会をしている最中、嬉しい「合いの手」というものがあります。

ひとつは『声』の合いの手

♦︎冒頭のウェルカムスピーチは、緊張している新郎も少なくありません。皆様に挨拶をしている新郎が、さっそく言葉に詰まりました。暗記した原稿が吹っ飛んだのか無言になって…3秒。彼に向けて、早くも「がんばれ~」と声をかけてくれる新郎の仲間たち。開始早々の「がんばれ~」は必ず笑いが起きます。これからこの仲間に囲まれてワイワイ楽しむのだということがわかりますよね。そのかけ声は、新郎と仲間たちの関係がとても温かいものなのだということを知らしめる、仲間たちの名刺代わりの挨拶でもあります。

 

♦︎司会者がプロフィール紹介を読んでいる時、「ココ、笑って欲しいところ!」という場面で「ハハハ」と声を出してくれる新郎友人(若い男性)、親族席のおじ様(中年の男性)。披露宴が始まったばかりの最初の15分でこの声が聴けると、ほとんどの場合その披露宴は和やかに盛り上がります。まだお酒も入っていないのに、素直に声を出してくれた貴方に感謝です。

 

♦︎ファーストバイトをしている時、新郎が頬張るケーキの量が不満らしく、「もっともっと(量を増やせ)」と叫んでくれるご友人。そこで本当にケーキを盛るのか、予定通りの量で行くのか、それはこちらサイドの打ち合わせで事前に決めている場合もありますが、その選択肢を与えてくれた貴方の掛け声は、司会者のアドリブを引き出し一層愉快なシーンにグレードアップしてくれます。気が利いたナイスな振りです。

 

♦︎お色直しのドレス姿を見た新婦ご友人が、「綺麗~」とため息をついてくれたり、「意外!赤なんだ」とドレスの色に感想を漏らしてくれたり。この言葉は必ず拾わせて頂きます!だって、皆さんにどう思われているか…女の子(新婦)はとっても気になるものですもの。誰も何も言ってくれない時は、突然たった一人の女性の視線を捕まえて、「イメージ通りですか?」なんて聞くこともあります。そんな時、少しでも周りに聞こえるような声で答えてくれる勇気ある女性が時々いらっしゃいます。嬉しいです。盛り上げてくれて本当にありがとう。

 

続いては『しぐさ』の合いの手

無粋な言い方ではありますが、「使えるしぐさ」というものがあります。司会者としては、こちらのコメントを引き出してくれる「合いの手」のようなもの。

 

♦︎多くの子連れのゲストが迷惑ではないかと考えている子供の泣き声は、実は記念になるBGMです。2時間半から3時間の披露宴の中で、どんなに泣き叫んでも、大音量は実は十数分なんですよね。これが意外と後で見る披露宴ビデオの笑えるスパイスになっているものです。パパママにとっては大迷惑を発生させている地獄の思いかもしれませんが、「○○ちゃんもお祝いしてくれていますね~」と肯定的に表現していけば、うるさいと思っている人が仮にいらしたとしても、だんだんとそんなものかと感じるようになっていくものです。ですから、あえて泣き声は拾わせて頂きます。何よりその子の年齢を知っていてそれでも友人に出席してもらいたくて、ココに呼んだのは新郎新婦です。彼らが迷惑だと感じているわけがないのですから、安心して子供は子供の仕事(泣く)をしていればいいんですよ。

 

♦︎お父様お母様、おじい様おばあ様、思い出が深い方々ほど、いつ涙を流すかわかりません。そっとまなじりを拭くおばあ様、急に瞬きをしなくなるお父様、それらを見逃さないことも私たちの仕事です。先日のご披露宴では、おばあ様と新婦が一緒に歩いて中座をしました。ふと視線を主役から外すと、そこには足の悪いおじい様が、なんとか二人の写真を撮ろうと立ち上がっている姿がありました。シャッターを押そうと思うとおばあ様が違うほうを見てしまったり。またシャッターを押そうと思うと、目の前を違うゲストに遮ぎられてしまったり。そうしておじい様は1回もシャッターを押せないまま席に座りました。おじい様のカメラには二人の姿は一枚も残せませんでした。けれど、その姿を途中でアナウンスさせて頂きましたので、そのおじい様の姿を撮ってくれたゲストがいらしたのです。もうそれだけで、大事な一場面が写真に残せたのではないかと思っています。

 

こうして、私たち司会者は、ゲストの声やしぐさに助けられながら、台本には無いアドリブの当日を作り上げることができます。これらが多ければ多いほど、臨場感がある温かい披露宴だったなと感じるような気がします。

どうぞ皆さん、ゲストとして参列する際は、あなたの声やしぐさが、あともう一つ思い出を増やしてあげられる、新郎新婦へのプレゼントになることを覚えておいてくださいね。司会者と一緒に、ベテラン俳優のようなアドリブを、新郎新婦にプレゼントしてあげましょう。余興をしたりスピーチをする人だけがプレゼンテーターではありません。その座っている席から発信できることが、たくさんあるのです。